私はとても汗かきだ。子供の頃は夏の朝礼でお辞儀をするたび地面にザバッと汗が雨のように落ちていた。どれ程暴飲暴食しても今まであまり太らなかったのは、朝起きるとシャワー後のようになっている自分の飛び抜けた新陳代謝の良さが理由の一つだと思っている。
今回の舞台、共演者の皆様は動き回っているのにそれ程汗は目立たない。自分だけが滝のように汗をかいている。昨日とうとう汗のダメ出しをされた。
『ちょっと引くくらい汗がひどいです。』
今日はスタッフ総出の様々な汗対策のお陰で多少は目立たなくなったが、まだまだ予断は許さない。これは日々研究が必要だろう。
以前、腋の下を縛ると上の汗は出ないと聞いたことがある。長時間は苦しいが短時間なら有効だそうだ。そういえば女優さんで顔が汗だくの人など見たことがない。女優さんに限らず女性で滝のように顔から汗を垂れ流している人っているだろうか。私は今まで一人も見たことがない。
なるほど、ブラジャーか。答えはブラジャーなのか。汗で透けてしまった場合を考えるとそんなギャンブルは舞台上では試せない。いつだ、いつブラジャー実験をすればいいのだ?家から劇場入りまでの時間でか?それも怖い。もしその無駄なドキドキが新しい自分スイッチを押してしまったら、もう二度と今の自分に戻れない気がする。まずはとりあえず、どうやって自分用ブラジャーを手に入れるのかというそこそこ高いハードルの超え方を考えなければ。いや、まずは紐でいいか。紐でいいや、紐で。楽屋でSMマニアと間違われるくらい何ともない。明日起きたらちょうど良い紐を探そう。寝る。